朝はご飯じゃないと力が出ないグループに所属しています。主食をお米以外とする選択肢がますます増えているという話ですが、それでもまだこのグループは最大勢力でしょう。
朝はがっつり。昼は軽く。ただし午後に力を使うような仕事が待っている場合はがっつり。夕食はそれなりにがっつり。私はそんな感じで、三食しっかりと取りたいグループにも所属しています。
主食というものは食文化に根差すもの。日本でお米が主食となること、その中でパンや麺類を主食とするのを好む人がいることも含めての食文化です。ご飯の他にも選択できると同時に、選択しないことだってできるという自由はとても豊かなことだと思います。
ある食物が主食となるには、その地域での気候や地形はもちろん、生態系などが要因となります。日本におけるお米のような位置づけは、他の国ではどうなっているのでしょうか?
ジャガイモと牛肉が主食と言えます。多民族国家であり、移民が多いお国柄、そのことまた主食を決定する因子となるわけですが、ジャガイモと牛肉が多く消費されます。映画やドラマでよく見られるように、朝食はシリアルが好まれます。
フィッシュアンドチップで知られるイギリスで、日本におけるご飯の位置を占めるのはジャガイモ。もちろんパンもよく食べられますが、夕食にはジャガイモが食べられます。スターゲイジパイは主食ではありません。
ジャガイモと聞いて思い浮かべる外国はアイルランドでしょう。もちろん主食として食べられています。料理も豊富で、複数の品種が使い分けられて食卓に並ぶこともあります。さすがジャガイモ国。
ジャポニカ米が使われる数少ない外国である韓国も主食はお米。白米で食べられる他、日本の焼肉屋で見られるように、ビビンパのような混ぜご飯、クッパのような雑炊としても消費されます。「パ (プ)」がご飯を意味するのだそう。
鈍器にもなるフランスパンが有名であるように、パンが主食となる。といっても硬いバゲットのようなパン以外にも、クロワッサンやサンドイッチなどが多く食べられます。主食がケーキになったことはない模様。
美味しい食べ物がたくさんあるイタリアにはパスタのイメージがありますが、主食を訊かれたらパンを挙げる人が多いはず。パスタを食べる時は普通その後にパンも出てきます。そちらがメイン。いわばパスタは前菜的なポジションです。日本人にとって、パスタはちょっと量が少ないという感覚があるのはそのためなのではないでしょうか。
国ではありませんが、エスキモーについて。彼らは狩猟民族であり、その主食の位置を占めるのは肉や魚です。主食は普通、お米や芋やパンといった炭水化物が選ばれますから、これは明らかに例外的でしょう。そもそもこの食習慣を主食とは呼ばないという整理の仕方のほうがよいかもしれません。
日本人にとって農耕が土着的な信仰に無関係でいられないように、エスキモーのそれも自然の恵みに対する敬意や感謝といった存在だと言われています。
中国は広すぎて地域の違いでかなり異なりそうです。ジャポニカ米も長粒米も食べられますが、東北地方などではあまり消費されず、饅頭 (まんじゅうではなく、マントウ) が主食となる。麺類が恒常的に食べられ、餃子やシュウマイも多く食べられることから、小麦を主食と呼ぶほうが概ね正解となりそうです。
日本人の食文化から来る感覚では、餃子やシュウマイ、それから春巻きを主食とするのは変な感じがしますね。日本では副菜的なポジションでしょう。中国人から見たら、日本人はご飯のおかずとしてそれらを食べていることがカルチャーショックなのだそうです。主食に主食という組み合わせですから。ラーメン屋で注文できるラーメン・餃子・炒飯の主食 3 点セットをご覧ください。
以上、国や地域で主食はかなり異なるという話でした。食べる時間でも異なりますし、そもそも主食という概念をどう定義するかも微妙なところだと思います。
気候や土壌的に耕作が厳しいところでは炭水化物の獲得が難しくなります。ジャガイモのように育てやすい野菜が主食となるのは自然なことです。
「日本の肉じゃがは主食だと思っていた」
北欧の人のそういう話を私は聞いたことがあります。なるほど、主食に主食という感覚がこれですか。