「キョン」というと、ある年代の方なら二頭身の警察官による一発ギャグを思い出すかもしれませんし、別の年代の方ならどこにでもいる普通の人間を思い浮かべるかもしれません。
しかし、ある地域の方にとっては日々の悩みの種となっているようです。その種とは外来種のこと。
房総半島南部で、シカ科の外来種キョンの繁殖が急増し、稲やイチゴなど農作物を食い荒らすなど被害の拡大が続いている。
推定生息数は2007年度の約3400頭に対し、14年度末で10倍超の約4万700頭に上っている。千葉県は、今年度から各自治体に捕獲費を補助する対策強化に乗り出した。
野生のキョンが目撃されるようになったのは、同県勝浦市の動植物園「行川(なめがわ)アイランド」(2001年閉園)から脱走したとみられる後の1980年代に入ってからで、温暖な気候と餌となる下草に恵まれているために繁殖したとみられる。
脱走の後に増え続け、2002 年に 1,000 頭だったものが、2007 年には 4,000 頭に。ついに去年は約 40,000 頭を超えるという大繁殖となりました。こうなるともう餌が足りないのでしょう。住宅地まで下りてきて農作物を荒らすほどで、農家ではかなりの被害が出ている模様です。
臆病な性格で人間に近付かないとはいえ、体長 1 メートルくらいの動物がうろうろしているのは結構怖いものがありますね。
房総半島南部にお住まいの方なら普通に目撃したことがあるのではないでしょうか。
キョン (羌の儿の右上部分にム) はシカ科の動物で、元々は中国南東部や台湾に自然分布していました。和名は「羌」を台湾語で読んだ「kiong (キオン)」から。
2005 年に特定外来生物に指定。国内への持ち込みや飼育は禁止されています。
体長 70 ~ 100cm、肩高 40 ~ 50cm、体重 10 ~ 15kg。雄は 15cm 以下の角を持ち、上顎に牙。森林や低木林に生息。木の葉や果実を食べて活動する草食動物です。
かつて、千葉県勝浦市浜行川には動植物園を中心とした「行川 (なめがわ) アイランド」という観光施設がありました。そこでは千葉県内でキョンが唯一飼育されていましたが、1980 年代以降に一部が逸走。餌が豊富にある千葉の土地で野生化し、現在のように繁殖していったとみられています。
なお、国内では千葉県の他に伊豆大島にも生息していますが、こちらも同様に動物園施設からの逸走が原因となっています。
以上、房総半島のキョンについてのニュースでした。
狩猟鳥獣にキョンは指定されていないため、狩猟をすることができず、捕獲もままならないのだそうです。罠を仕掛けて地道に捕まえていくしかないのだとか。千葉を北上する日もそう遠くないかもしれません。
動物園で管理しきれず、脱走して増えてしまったから処分しないといけないというのはなんとも悲しい話ですね。
ちなみに、キョンのお肉 (山羌肉) は炒め物にして食べると美味しいそうです。