イギリスのタブロイド紙「デイリーメール」が、福島県で撮影された奇形のヒナギクを「放射線の影響」として報道したことで批難されているそうです。下が問題の記事。
実はその奇形化は、「帯化 (たいか、Fasciation)」と呼ばれる現象なのだそう。知っていました? 私は初めて耳にしました。園芸をするひとなら常識的な概念なのかもしれません。
帯化は、植物の茎頂にある成長点で、頂端分裂組織に異常が生じることで起こり、茎や根、果実、花などが垂直に伸長したり、リボン状に平坦になるといった外見的な変形が見られる。また、比較的まれにではあるが、花茎の先端がコップ状にへこむ輪状帯化を生じる場合もある。
帯化が確認されている植物は800種以上にものぼり、特にキク科、アブラナ科、ナデシコ科の種で多く見られる。(以下略)
件のヒナギクはもちろんキク科の植物です。帯化は、突然変異や細菌感染、ダニによる損傷など、様々な原因で引き起こされるとのこと。
撮影者が、原発から約 110km の位置にある那須塩原に住んでいることから、大衆紙らしく喰いついたって感じでしょうか。
以下がツイッターに投稿された写真。2015 年 5 月に福島県那須塩原市で撮影。
それにしても、4 つの茎が繋がって、2 つの結合した花を咲かせている姿には、ものすごい不安を感じます。なんだか落ち着かない。でもそれは、植物がもともとそういう成長のしかたをするのだったら引き起こされない感情なのでしょうか? 逆に、1 茎から 1 輪の花を普通に付けているのを見て不安になるのでしょうか?
帯化したサボテンを見ても不安にならないところを見ると、そのような相対的感覚ではない感性が人には備わっているのかもしれません。
大丈夫な人は、Google の画像検索で「帯化」や「Fasciation」をキーワードにしてご覧になってください。