オオカミウオってご存知ですか?
先月末、奇怪な風体をした巨大魚の写真が話題を集めていました。大人の頭がすっぽり入るほどの口を開け、手のひらより大きい胸鰭を生やし、岩のようにゴツゴツとした皮膚感のある怪魚。それを重そうな形相で持ち上げている男性。
捕獲したご本人がツイッターに投稿した写真です。それがつい先日、イギリスのタブロイド紙「サン」に掲載されていました。
抜粋して意訳すると、
オオカミウオは通常、全長 1.1m 重量 15kg に成長するが、北海道沖で見つけたこの魚は 2m もある。この巨大魚は 2011 年に起きた福島原子力発電所の災害による海洋生物への影響について、さらに問題提起するだろう。
という論調で、次のように締めくくられています。
去年、チェルノブイリの大惨事があった現場付近で巨大なナマズが発見された。
要するに、放射性物質の影響で巨大化した魚なのだろうという記事です。
巨大化云々以前に、普段なかなかお目に掛かることのないこのオオカミウオ。いったいどのような魚なのでしょうか?
オオカミウオは、オオカミウオ科の海水魚です。漢字書くと狼魚。英名は Bering wolffish。ベーリング海やオホーツク海、東北地方北部など、寒い海域に棲息しています。
全長は 1m ほど。同科別属のウルフイールは最大で 2.5m ほどまで成長するそうです。イール (eel) はウナギやその仲間を意味する言葉ですが、近い仲間であるオオカミウオもそのような感じに平べったく伸びたボディを持っています。
そしてこの顔。
狼というよりは、水木しげるの漫画に出てきそうな顔をしています。鋭い犬歯の他に大きな臼歯を生やしていて、貝を噛み砕くほどの力があるそうです。
一般的ではありませんが、オオカミウオは食用にもなります。フライやソテーにするとすごく美味しいとの話。
以下がツイッターに投稿された写真です。どのくらいの大きさに見えますか?
投稿者曰く、「120センチあるかないか」だそう。英紙の言うようにこれが 2m サイズなら、それを抱えている投稿者は巨人になってしまいますね。
ところで、記事最後に書かれていたチェルノブイリ付近の巨大ナマズ。気になったので調べてみると、ウクライナ北部のプリピャチで去年捕まえられたという記事がありました。
こちらは 2m 以上あるとのことです。前掲のオオカミウオと比べていかがでしょうか?
プリピャチは 1986 年のチェルノブイリ原発事故後に無人となった地域。なお、ナマズの巨大化と事故との因果関係は不明です。
以上、巨大魚と英タブロイド紙の報道についてでした。
この手の話題には「サン」や「デイリーメール」が喰いついてきますね。少し前にもこんなことがありました。