クモは益虫。ハエや蚊を捕ってくれるから殺してはいけないよと、畑いじりが好きだった祖父がよく言っていました。
たしかに、家に侵入してくるクモは毒を持っていないし、ハエトリグモなどはぴょこぴょこ跳ねてかわいいものです。
しかしながら、強い毒性を持ち、人間に害をなすクモだってもちろん存在します。それもごくごく身近に。
埼玉県春日部市で 7 月 31 日、セアカゴケグモが 5 匹見つかり、県が注意を呼びかけています。
県みどり自然課によると、7月31日に同市大枝のUR都市機構武里団地内で、側溝を清掃していた清掃員が生体1匹を発見。翌1日に春日部市と県東部環境管理事務所が前日の発見現場を中心に調査を行ったところ、団地の駐輪場から新たに生体4匹と卵のう2個を確認し、全て駆除した。
県内では、昨年7月から12月に川越、春日部、三郷、久喜、幸手、富士見市で生体計108匹が見つかっている。同課は「毒を持っているので素手で触らないでほしい」と注意を呼び掛けている。
埼玉だけでそんなに!
セアカゴケグモは有毒のクモの一種で、雌は体長 10mm ほど、雄は 3 ~ 5mm ほど。その名前の通り、背中に赤い模様があります。黒ベースに赤い模様という危険アピールをご覧ください。
「ゴケ」というのは苔ではなく後家のほう。なんでも、交尾の後に雌が雄を食べてしまうことがあるようで、名前はそこに由来しているとのこと。背赤後家蜘蛛と書くと字面がすごいですね。
1995 年 11 月に大阪府で発見された外来種。以降、分布地域を広げています。
2013 年 2 月に書かれた国立感染症研究所のレポートでは次のようになっていました。
と、この時点では西日本で多く報告されていますが、2015 年 8 月の現在では 39 都道府県にまで広がりました。
最近では、6 月には北海道で、7 月には島根県で初めての報告があり、ほとんど日本全土に生息しているといっていい状況です。
このクモが有する毒は、哺乳類に対して活性を示す神経毒で、咬むことで注入されます。怖いのは雌で、雄のほうの毒は人体には影響を及ぼさないとされています。
報告では、咬まれた周辺が赤くなり、局所からは痛み・痺れ・腫れが訴えられています。痛みは広がり、発汗・かゆみ・発熱などの症状も。
オーストラリアでは死亡例がありますが、日本では重篤例もありません。
咬まれたら病院へ。症状のもっともな特徴は痛みであるため、包帯などで圧迫すると余計痛くなります。冷やせば痛みが少しはやわらぐかもしれません。
咬んだクモを駆除できたら、そのクモも病院に持って行くと治療が捗ります (「特定外来生物」に指定されているので、生きたまま運ぶと違法行為にあたるかもしれません)。
以上、背赤後家蜘蛛のニュースでした。
基本的に大人しいクモなのだそうで、こちらから何かしない限りは大丈夫。なのでそっとしておく……わけにもいかないので駆除しましょう。好奇心旺盛な子供には注意を呼びかけておいたほうがよいですね。