アクセシビリティという言葉をご存知ですか?
ブログを運営している人なら耳にしたことがあるかと思います。あのサイトはアクセシビリティが良い。アクセシビリティを意識してデザインされている。と、そんなふうに使われる言葉です。
また、ユーザビリティという言葉もあります。
アクセシビリティを知っているならこちらも耳にしたことがあるかと思います。あのサイトはユーザビリティが良い。ユーザビリティを意識してデザインされている。と、そんなふうに使われる言葉です。
このように、アクセシビリティとユーザビリティは似たような文脈で登場することが珍しくありません。その所為もあってか、どっちがどっちだったか混乱してしまいそうです。
簡単に言うと、アクセシビリティはアクセスしやすさ、ユーザビリティは使いやすさのことです。と、そんなふうに説明される言葉です。
この簡単な説明は、分かりやすいようにみえて、余計に分かりにくい説明に聞こえるかもしれません。なぜなら、アクセスしやすいということは使いやすいということだし、使いやすいということはアクセスしやすいということでもあったりするから。
皆さんは、これら 2 つの違いを理解できていますか?
アクセシビリティとは、情報やサービス、ソフトウェアなどが、どの程度広汎な人に利用可能であるかをあらわす語。特に、高齢者や障害者などハンディを持つ人にとって、どの程度利用しやすいかという意味で使われることが多い。"accessibility" とは「近づきやすさ」「接近容易性」といった意味の英単語である。(以下略)
例えば、「翻車魚」という言葉をブログに書くとします。読めますかね? 読める人はいいのですが、読めない人もいらっしゃるでしょう。そこで、「翻車魚 (マンボウ)」とルビを振る。これで読めない人も理解できるようになりました。さらに、「翻車魚 (マンボウ, Ocean sunfish)」とするなら、英語圏の方もこの情報にアクセス可能になることでしょう。
このような意味で、アクセシビリティとはアクセスしやすさのことという説明が成り立ちます。
ハンディキャップを持つユーザーをイメージすると理解しやすいのですが、同時に誤解も生じやすいと思います。あくまでも、「広汎な人に利用可能である」ということがこの概念の根底です。ハンディの無い人も等しくアクセスできないといけません。「翻車魚」を読める人は、「翻車魚 (まんぼう, Ocean sunfish)」も読むことができる。そういった環境のことです。
ユーザビリティとは、ソフトウェアやWebサイトの「使いやすさ」のこと。様々な機能になるべく簡単な操作でアクセスできることや、使っていてストレスや戸惑いを感じないことなどが、優れたユーザビリティにつながる。また、ユーザが目標の操作を完了するまでに費やした労力などもユーザビリティの指標となる。(以下略)
例えば、「翻車魚」という言葉をブログから探そうとします。どのように見つけますか? 記事ひとつひとつを読んで探すとしたら骨が折れることでしょう。こういう時、サイト内検索フォームがあれば簡単に見つけ出せます。あるいは「翻車魚」というカテゴリやタグが設定してあれば、そこから辿り着くこともできるでしょう。
このような意味で、ユーザビリティとは使いやすさのことという説明が成り立ちます。
その検索フォームにしても、見つけやすい場所に置かれていればユーザビリティがより良くなることでしょう。例えば Tab キーを何度か押すことでフォーカスが移る。ショートカットキーが設定されている。そういった環境のことです。
以上、アクセシビリティとユーザビリティについてでした。
この 2 つの語の混同は、ハンディを持つ人の「使いやすさ」や、Web サイトでの「アクセスしやすさ」というイメージから生じているのではないでしょうか?
アクセシビリティを「アクセスしやすさ」と考えるのではなく、「広汎な人に利用可能である」と捉えるとはっきりするのではないかと。検索フォームやタグを使うことは広汎性とは関係ありませんよね。
また分からなくなってしまったら、翻車魚のことを思い出してください。